第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者)は、お得な制度

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今回は、第3号被保険者について解説します。
第3号被保険者は、会社や役所に勤める厚生年金保険に加入している夫に扶養されている「サラリーマンの妻」などのケースですが(逆もある)、実際には保険料を支払っていなくても、支払ったことになるお得な制度であると聞いたことがあると思います。これには歴史的背景がかかわってきます。なぜこのような制度になったのか歴史を紐解いていきましょう。

第3号被保険者はお得な制度

第3号被保険者はお得な制度です。該当される方には大変恐縮ですが、しくみを理解していただきたいので、あえて記載します。また、なぜそのようになったかを歴史的背景から紐解くカギがあります。ご辛抱してみてください。

第3号被保険者の歴史的背景

第3号被保険者の大多数を占めているのは会社員や公務員の妻が該当します。
会社員の妻A子さんを例にして説明します。

専業主婦であるA子さんは、国民年金に第3号被保険者として加入します。A子さんが20歳前から結婚していたとすると、20歳から60歳まで、40年間も第3号被保険者として加入し続けることになります。その後は、65歳から満額の老齢基礎年金を受給できます。年金は社会保険であるので若いうちから保険料を支払うのが当たり前です。ところがA子さんは、一円も支払わなくてもいいのです。「第3号被保険者該当届」という申請書を夫の会社を通じて提出するだけで、60歳になるまで保険料は一切支払わなくてもいいことになっているのです。「どうして保険料を支払わないのに年金を受給できるのか」ということですが、他の誰かが支払ってくれているからです。では誰でしょう。

皆さんからの回答の多くは、夫が支払っていると思われがちです。しかし、妻がいてもいなくても夫が支払う保険料に変わりがありません。結論は、「第3号被保険者の年金は、全国の第2号被保険者が支払う厚生年金保険の保険料で賄っている」のです。
次に、B子さんのケースを考えましょう。B子さんもA子さんと全く同じで、唯一異なるのは夫が自営業者だということです。この場合、B子さんは第何号被保険者になるのでしょうか?

もう、お分かりですね。そうです第1号被保険者です。第1号被保険者は保険料を支払わなくてはいけません。夫の職業でこれだけ左右されることがわかりますね。
なぜこのようなしくみになったのかについて触れたいと思います。
まず、新法に第3号被保険者になった人たちが年金制度上どのように取り扱われてきたのか、そして現在どのように取り扱われているのか考えてみます。

上の図は、会社員の妻たちの年金制度とのかかわり方を示しました。昭和36年4月の国民年金法施行により国民皆年金といったことを覚えていますか?この時、会社員の妻たちは任意加入であったのです。任意加入とは入っても入らなくてもどちらでもよいことです。実際には、無年金者が大勢いたのです。そこで、昭和61年4月の年金大改革で第3号被保険者という名称で強制加入としたのです。強制加入となれば会社員の妻たちにも間違いなく老齢年金を支給でき、丸く収まるわけです。

そこで、次に問題となるのが、保険料の徴収です。
昭和61年当時、政府内でも当然、「第3号被保険者にも保険料を支払ってもらおう」という意見があったようですが問題もありました。会社員の妻たちは、専業主婦が多く、収入がないのです。パートに出ている人もいましたが、年収130万円未満でなければならないのですから、所詮薄給なのです。このような人たちに月何万円の保険料を徴収したら、滞納の問題が生じてしまうわけです。様々な議論が重ねられた結果、「しばらくの間は保険料を徴収しない」と決められたのです。

第3号被保険者該当届の変遷

「第3号被保険者該当届」を提出しないと第3号被保険者として認められません。
平成14年から、第2号被保険者の会社を通じて提出することになっていますが、それまでは第3号被保険者自身が届け出る必要があったわけです。その間の届け出漏れは予想をはるかに超えるほどあったようです。このような背景から何回となく届け出漏れの救済措置が取らてきています。届け出れば保険料納付済期間となり年金に反映されるのです。

 

  • 平成7年から平成9年までの2年間「特例届出期間」として、時効を無視して第3号被保険者に該当した時点に遡って保険料納付済期間として認める。それでもなお、届け出漏れの人は完全にはいなくなりませんでした。
  • 平成17年4月から再度特例届出を認めることにした。

今回は期限なしですが、平成17年4月以降は、本来の届け出を忘れたことについて、やむを得ない事情がある場合に限ることの条件が付きました。

 

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