旧法での第三種被保険者の被保険者期間の特例

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第3種被保険者

過去、戦時下等において、船員と坑内員の方々は労働環境が厳しかったため、特別な加算があります。また、それとは別に、戦争中は死ととなり合わせの過酷すぎる環境であったことから、戦時加算というものもあります。また、第3種被保険者は、昭和29年4月1日以前生まれの者であるときは、59歳未満で老齢厚生年金の支給が受けられます(坑内員又は船員としての労働の過酷さから、長期間の就業が困難であることを考慮して、早期からの老齢給付の支給を認めたものでした。

第三種被保険者の被保険者期間の特例

旧法での厚生年金では、坑内員や船員は第三種被保険者と呼ばれていました。
被保険者期間は、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までカウントするのが原則ですが、第三種被保険者については、下記のような特例計算を行います。

第三種被保険者の特例計算

【昭和61年3月31日まで】
 第三種被保険者期間=被保険者期間(実期間)×4/3倍
【昭和61年4月1日~平成3年3月31日】
 第三種被保険者期間=被保険者期間(実期間)×6/5倍
【平成3年4月1日以降】
 第三種被保険者期間=被保険者期間(実期間)

たとえば、昭和61年3月までに12年間、第三種被保険者であった場合、12か月×12年=144月ですが、3分の4倍することにより、192月となります。
これは、ある種のボ-ナスと考えられますが、このような取扱いをする理由は、昔は船の上や炭鉱の中の仕事が大変過酷であったからです。
旧法時代は、3分の4倍していましたが、船上や炭鉱内の労働もその後機械化が進み、さほど大変でもなくなりましたので、実際の加入期間で計算することになりました。ただし、3分の4倍から実期間へと突然移行するのは激変ですから、間に5分の6倍との経過措置を置きました。
さらに戦時中に坑内員や船員であった人には、前記の加算に加えて戦時加算がつきます。ちなみに、昭和16年12月8日は、太平洋戦争が始まった日です。

戦時加算

【坑内員・船員】 昭和19年1月1日~昭和20年8月31日:3分の1倍
【船員】昭和16年12月8日~昭和21年3月31日:期間および海域に応じた加算

以上のように、平成3年3月31日までの第三種被保険者であった期間について特例計算を行いますが、この特例は年金額にも反映されるのか?

結論から先に言えば、老齢厚生年金額にはきちんと反映されます。年金額も3分の4倍、5分の6倍、さらに戦時加算がある人は戦時加算も加算された額になります。一方老齢基礎年金には反映されず、実際の加入期間で計算されます。

下の図は、第三種被保険者期間がある人に支給される老齢年金を示したものです。
65歳前に支給される報酬比例部分と定額部分を合わせて特別支給の老齢厚生年金といいますが、第三種被保険者の特例計算は、この特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分・定額部分いずれにも反映されます。
65歳以降は、報酬比例部分が老齢厚生年金に、定額部分が老齢基礎年金に移行しますが、第三種被保険者の特例は、このうち老齢厚生年金には反映しますが、老齢基礎年金には反映しません。
定額部分に反映して老齢基礎年金に反映しないと、65歳以降のトータルの年金額が減ってしまうように思えますが、その分は、経過的加算で調整しますので問題ありません。すなわち、定額部分-老齢基礎年金の差額を経過的加算として加算しますので、トータルの年金額は減ることはありません。

第三種被保険者の老齢年金

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