年金給付基礎日額の最低・最高限度額
前回は、休業給付基礎日額の年齢階層別の最低・最高限度額を説明しましたが、年金給付基礎日額については休業基礎日額の規定を準用することなっています。ただし、適用時期など異なる箇所もありますので注意して読んでください。
労働者災害補償保険法 (法8条の3,2項)
休業給付基礎日額の年齢階層別の最低・最高限度額の規定は、年金給付基礎日額について準用するとなっています。条文を読み替えると、以下のようになります。
次の1又は2に該当するときは、当該1又は2に定める額を年金給付基礎日額とする。
1 第8条の3第1項の規定により年金給付基礎日額として算定した額が、厚生労働省令で定める年齢階層ごとに年金給付基礎日額の最低限度額として厚生労働大臣が定める額のうち、当該年金たる保険給付を受けるべき労働者の当該年金たる保険給付を支給すべき月の属する年度の8月1日(当該月が4月から7月までの月に該当する場合にあっては、当該年度の前年度の8月1日。以下「基準日」という。)における年齢(遺族補償年金又は遺族年金を支給すべき場合にあっては、当該支給をすべき事由に係る労働者の死亡がなかったものとして計算した場合に得られる当該労働者の基準日における年齢。2において同じ。)の属する年齢階層に係る額に満たない場合 当該年齢階層に係る額
2 第8条の3第1項の規定により年金給付基礎日額として算定した額が、厚生労働省令で定める年齢階層ごとに年金給付基礎日額の最高限度額として厚生労働大臣が定める額のうち、当該年金たる保険給付を受けるべき労働者の基準日における年齢の属する年齢階層に係る額を超える場合 当該年齢階層に係る額
適用時期
年金給付基礎日額については、休業給付基礎日額と異なり、その当初から年齢階層ごとに定められた最低・最高限度額が適用されます。休業給付基礎日額では療養開始日から起算して1年6箇月を経過したときから適用される。
適用方法
年金たる保険給付を受ける労働者の毎年8月1日(基準日)ごとの年齢を、同日から1年間の年齢として、これを年齢階層にあてはめ、その労働者の年金給付基礎日額がその年齢階層の最低限度額を下回っていれば最低限度額を新しい年金給付基礎日額とし、逆に、その年齢階層の最高限度額を上回っている場合には最高限度額を新しい年金給付
基礎日額とする。
なお、遺族補償年金又は遺族年金を支給すべき場合にあっては、受給権者である遺族の年齢ではなく、当該支給をすべき事由に係る労働者の死亡がなかったものとして計算した死亡労働者の年齢を年齢階層にあてはめる。
基準日
8月から翌年3月までに支給される年金たる保険給付については、その年度の8月1日が基準日となるが、4月から7月までに支給される分については、その年度の前年度の8月1日が基準日となる。
スライド改定が行われた場合の最低・最高限度額の適用
スライド改定が行われた場合は、次の①から③のようにスライド改定後の年金給付基礎日額について最低・最高限度額が適用されます。
①最低限度額≦ 給付基礎日額×スライド率≦ 最高限度額の場合
⇒ 「給付基礎日額×スライド率」を年金給付基礎日額とする
②給付基礎日額×スライド率< 最低限度額 の場合
⇒ 「最低限度額」を年金給付基礎日額とする
③最高限度額< 給付基礎日額×スライド率 の場合
⇒ 「最高限度額」を年金給付基礎日額とする


