年齢階層別の最低・最高限度額
趣旨
給付基礎日額は、原則として、算定事由発生日以前3箇月間に支払われた賃金を基礎として算定されることを前回学びました。
算定事由発生日以前3箇月間に支払われた賃金を基礎として算定されるため、賃金水準が一般的に低い若年時に被災した者の保険給付の額と賃金水準が一般的に高い壮年期(働き盛り)に被災した者の保険給付の額との間には大きな格差が生じ、特に長期間受給する年金給付などの場合、生涯にわたってその差が解消されない等の問題が起こりうります。
賃金変動によりスライド改定されても、上記で算定した給付基礎日額が元ですから、基礎日額が変わることはありません。ようするに若年期で被災したときのままです。
このような不均衡を是正すること等を目的として、一般労働者の年齢階層別の賃金構造実態等に基づき、給付基礎日額を年齢階層別の最低限度額と最高限度額の範囲内に収めることとされています。
具体的には、算定した給付基礎日額が次表の年齢階層別の最低・最高限度額の範囲内にあるときは、その算定した給付基礎日額を用い、最低限度額を下回るときは最低限度額を、最高限度額を上回るときは最高限度額を、それぞれ給付基礎日額とします。
なお、年齢階層別の最低・最高限度額には、
⑴ 長期療養者の休業給付基礎日額に係る年齢階層別最低・最高限度額
⑵ 年金給付基礎日額に係る年齢階層別最低・最高限度額
の2種類があり、どちらも下表の限度額を適用します。
最低・最高限度額が適用される保険給付
年金たる保険給付及び療養開始後1年6ヶ月を経過した方に支給する休業(補償)給付(以下「労災年金給付等」という。)については、被災時の年齢による不均衡の是正を図ることなどのため、その算定に係る給付基礎日額について年齢階層別の最低・最高限度額を設けています。年齢階層別最低限度額が最低保障額(自動変更対象額)を下回った場合には、最低保障額(自動変更対象額)に置き換えることになっています。
■令和元年年8月1日から令和2年7月31日までの最低・最高限度額
年齢階層の区分 | 最低限度額 | 最高限度額 |
20歳未満 | 4,977円 | 13,330円 |
20歳以上25歳未満 | 5,538円 | 13,330円 |
25歳以上30歳未満 | 6,046円 | 14,144円 |
30歳以上35歳未満 | 6,469円 | 17,089円 |
35歳以上40歳未満 | 6,777円 | 19,303円 |
40歳以上45歳未満 | 7,025円 | 21,216円 |
45歳以上50歳未満 | 7,080円 | 23,245円 |
50歳以上55歳未満 | 6,989円 | 25,480円 |
55歳以上60歳未満 | 6,537円 | 25,492円 |
60歳以上65歳未満 | 5,310円 | 20,493円 |
65歳以上70歳未満 | 3,970円 | 14,967円 |
70歳以上 | 3,970円 | 13,330円 |
・ 年齢階層は、20歳未満と20歳以上70歳未満を5歳ごと及び70歳以上とに12の階層に区分され、それぞれの階層ごとに最低・最高限度額が設定されています。(則9条の3)
・ 年齢階層別の最低・最高限度額は、賃金構造基本統計をもとに設定され、その年の8月から翌年7月まで用いる限度額が毎年7月31日までに告示されることになっています。


