総報酬制による保険料額の計算と年金額の計算

厚生年金や国民年金の加入者には、毎年誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきまよね。このねんきん定期便、その時点で想定される将来の年金額が書かれているんです。50歳未満の人に届くねんきん定期便は、現時点までに支払った保険料に基づいた年金額が記載されています。
年金定期便に記載されているのは、あくまで現在までに支払った保険料に基づいた年金額ですので、60歳まで納付し続ければ、当然もらえる年金額も増えていきます。
今回は、厚生年金の総報酬制による保険料額の計算や年金額の計算について説明していきます。用語が混乱してくるかもしれませんが、厚生年金保険は「報酬比例の年金」です。報酬比例とは、給与の額によって異なってきます。給料が高い人は高い保険料を、低い人はそれに見合った安い保険料を支払うことです。また、支払った額に応じて年金額も異なってきます。一般に高い保険料を支払った人は年金額も多くもらえることになります。そのしくみをみていきましょう。

年金と総報酬制

総報酬制とは、従来まで、ほぼ毎月の給与からのみ徴収していた社会保険料を、賞与(ボーナス)からも同じように徴収するしくみになることを意味しています。
毎月の給料から控除される厚生年金保険料などの社会保険料が、どのように計算されているかを説明しましょう。

総報酬制による保険料額の計算(厚生年金基金未加入の場合)

平成15年3月までは、毎月の税込の総支給額を元に仮の給与月額(標準報酬月額)に置き換えて、17.35%を掛けた額(労使折半)を毎月支払い、賞与(ボーナス)からは、1%の特別保険料(労使折半)を支払っていました。しかしこの場合、賞与については、年金額に反映されていませんでした。

平成15年4月からは、総報酬制が導入されたことで、厚生年金保険料の計算方法は給与と賞与から同率で負担するとともに、給付される年金額(報酬比例部分)にも賞与が反映されることになりました。

報酬比例部分とは、年金額が加入期間中の報酬及び加入期間に基づいて計算される部分です。
平成20年9月からは保険料率18.30%で固定され労使折半で負担。
総報酬制の導入後も給与については標準報酬月額が維持され、原則として4月~6月の平均給与で決定されますが、賞与については、標準賞与額に保険料率(毎月のものと同一)を乗じた保険料を負担します。

標準報酬月額

厚生(共済)年金の保険料を算出するために便宜的に作った報酬のランクで、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額。

現在は、1等級(8.8万円)~31等級(62万円)まで31等級に分かれています。

たとえば、
4月,5月,6月の平均給与が、37万2500円 とすると、
協会けんぽ(東京)の場合、
23等級(370,000以上~395,000未満)の範囲内にあるため、
標準報酬月額を 380,000円 として計算します。

保険料は、標準報酬月額×保険料率となりますので、
380,000円×18.3%=69,540円 となり、
労使折半となるため労働者の負担は半額(69,540円÷2)の
34,770円となります。(下表参照)

標準賞与額

3月を超える期間の賞与から千円未満を切り捨てた標準賞与額ですが、厚生(共済)年金では1回の支給につき150万円という上限額が定められています。なお、標準賞与額は、標準報酬月額と同一の保険料を掛けて算出します。

たとえば、800,500円の賞与の場合、千円未満切り捨てにより、
800,000円×18.3%=146,400円 となり、
労使折半となるため労働者の負担は半額(146,440円÷2)の
73,200円となります。

総報酬制による年金額の計算

平成15年4月からの年金額の計算は、平成15年3月までの被保険者期間の分と
平成15年4月以降の被保険者期間の分とを分けて計算し、その後合算して算出します。
報酬比例部分の計算は、平成15年3月までの被保険者期間分は「平均標準報酬」を用い、平成15年4月以降の分は「平均標準報酬額」を用います。
結論から言いますと、「平均標準報酬額」は賞与を含んでいないもの、「平均標準報酬額」は賞与も含んでいるものと理解してください。

平均標準報酬月額

平均標準報酬月額は、平成15年年3月以前の過去の厚生(共済)年金に加入していた期間中の標準報酬月額の平均額です。
ただし、20年前の標準報酬月額と1年前のそれとを単純に使用すると平均標準報酬月額が過度に低くなるため、再評価率を用いて見直し(再評価)をしてから計算します。

平均標準報酬額

平均標準報酬額は、平成15年4月以降の厚生(共済)年金の被保険者であった時期の標準報酬月額と標準賞与額を合算した平均額で、賞与が含まれることから月」の文字がありません
平均標準報酬額は、標準報酬月額と標準賞与額にそれぞれ再評価率(平均標準報酬月額の場合と同じ)を乗じてそれぞれの総額を算出し、その合算額を平成15年4月以降の被保険者期間の月数で除して得た額です。すなわち、「生涯の標準報酬月額と標準賞与額の平均額」です。

 <<決まりごと>>

①昭和32年10月1日以前の被保険者期間は、原則として計算に入れない。

②昭和51年7月31日までの被保険者期間と昭和51年8月1日以降の被保険者期間は、別々に計算して合算する。

※①②の特例は、昭和32年と昭和51年に、それぞれ標準報酬等級表の上限が改定されたことから設けられたものです。昭和32年には10万円が18万円に、昭和51年には20万円が32万円に引き上げられました。

③10,000円未満の標準報酬月額があるときは、10,000円とする。
旧船員保険の場合は、12,000円と読み替える。

④再評価を行う。
再評価とは、過去の標準報酬額について、現在の適正な価額に評価し直すことです。
過去の時代と現代とでは貨幣価値が違うので、過去と現在の標準報酬を単純に合計して
平均値を割り出すと、「厚生年金保険に長く加入すればするほど平均報酬額が低くなっ
てしまうため」です。
そこで、昔の安い標準報酬を現行の適正な価額に読み替えることにしています。

厚生年金基金の掛金

厚生年金基金の掛金は、基金によって異なりますが、
原則として標準報酬月額×1000分の50~1000分の24の額の範囲内となります。
なお、基金未加入者の厚生年金保険料負担額と基金加入者の厚生年金保険料+厚生年金基金掛金の額は、同額となります。

いかがでしたか?厚生年金保険は給与が高い人ほど、保険料を多く支払っています。そこで4月~6月分の給与をできるだけ抑えることで保険料を安くすることができます。

しかし、在職中の保険料をたくさん支払った人は年金もたくさん、在職中給料が少なくて困っていた人は、退職後も生活の心配を続けなければなりません。一概に保険料は安ければよいという訳にはいきませんね。

それでは、また次回をお楽しみに!!

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