今回は、遺族基礎年金の年金額と支給停止要件について解説します。
年金額は、毎年改定率によって変動しますが、国民年金の年金は定額制となっていますので、そう状況に応じて金額が変わるというほどでもありませんし、厚生年金保険の報酬制と比べても単純といってもいいですね。
遺族基礎年金額(基本額)
遺族基礎年金の年金額は、779,300円(平成30年4月から)です。
遺族基礎年金の額は、「配偶者と子が受給権者」の場合と「子のみが受給権者」の場合にわけて考える必要があります。
配偶者に支給する遺族基礎年金額と加算額
基本額と子の加算額を合算した額です。
基本額:779,300円
子の加算額:2人目まで(1人につき)224,300円
3人目以降(1人につき) 74,800円
子に支給する遺族基礎年金額
子に支給する遺族基礎年金は、基本額と次の加算額を合算した額です。
基本額(子が1人のとき):779,300円
子の加算額:2人目の子 224,300円
3人目以降(1人につき) 74,800円
配偶者の場合は、「子のある配偶者」が受給の要件となっているため、子の加算額が最低1人分は加算されますが、子が受給する場合は、子が1人のときは加算額はないことになります。
支給停止
労働基準法との関係
被保険者または被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償
が行われるときは、死亡日から6年間、その支給が停止されます。
※業務上の理由による死亡で、遺族基礎年金と同一の支給事由により、労働者災害補償
保険の遺族補償年金を受けることができるときは、労働者災害補償保険の側で支給の
調整が行われ、遺族基礎年金は、全額支給されます。
子に対する支給停止
①配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき(配偶者に対する遺族基礎年金が、
所在不明により支給停止されている場合を除く)
⇒配偶者と一緒に暮らしている間は、遺族基礎年金は配偶者に支給され、子に対しては支給停止になるということです。
②生計を同じくするその子の父もしくは母があるとき
⇒たとえば、死亡した夫と先妻との間に子があり、死亡した夫から先妻の子に対する養育費の送金が継続して行われていたなど、死亡した夫と先妻の子との間に生計維持関係が認められる場合には、先妻の子に遺族基礎年金の受給権が発生しますが、
先妻の子が先妻と生計を同じくしている場合は、先妻の子に対する遺族基礎年金は支給停止となります。なお、この場合、先妻は夫の死亡の当時、離婚により夫の妻ではないため、先妻に遺族基礎年金の受給権は発生しません。
配偶者の所在不明による支給停止
配偶者に対する遺族基礎年金は、その配偶者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、所在が明らかでなくなったときに遡って、支給が停止されます。
配偶者が遺族基礎年金の受給権を有している間は、子に対する遺族基礎年金は支給停止となりますが、配偶者の所在が1年以上明らかでないときは、子の申請によって、配偶者の遺族基礎年金を支給停止とし、子の支給停止が解除されることにより、子に遺族基礎年金が支給されます。
なお、所在不明を理由に遺族基礎年金の支給を停止された配偶者は、いつでも、遺族基礎年金の支給停止の解除を申請することができます。
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