時間外、休日及び深夜の割増賃金(法37条)

 

労働基準法
 法37条は、時間外労働・休日労働・深夜業に対して割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けることによって、労働基準法が規定する法定労働時間制及び週休制の原則の維持を図るとともに、過重な労働に対する労働者への補償を行うことを目的とした規定です。
 時間外労働・休日労働・深夜業の割増率、特に時間外労働・休日労働が深夜にかかった場合などの割増率や変形労働時間制の場合の時間外労働時間の計算、除外賃金に当たるもの代替休暇に関する規定など覚える事項が多いですがきっちりと学習しておきましょう。

時間外、休日及び深夜の割増賃金(法37条)

 

37条  
Ⅰ 使用者が、第33条[臨時の必要]又は第36条第1項[36協定]の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその労働については、通常の労働時間又は労働日賃金の計算額2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。


Ⅱ Ⅰの政令は、労働者の福祉時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。


Ⅲ 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定)により、Ⅰただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第39条の規定による有給休暇除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間(60時間)の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない


Ⅳ 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。


Ⅴ Ⅰ及びⅣの割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金算入しない
(労働基準法施行規則)
第21条 法第37条Ⅴの規定によって、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条Ⅰ及びⅣの割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
  1.  別居手当
  2.  子女教育手当
  3.  住宅手当
  4.  臨時に支払われた賃金
  5.  1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

割増賃金の対象となる労働

法定労働時間を超えて労働させた場合

 割増賃金の対象となる時間外労働は、法定労働時間を超えた時間外労働である。
所定労働時間ではありません
 <下図の例>
 所定労働時間7時間(9時~17時(休憩1時間))の会社で、残業1時間(18時まで)労働したケース。法定内時間外労働である1時間については、割増賃金の対象とはならず、法定労働時間を超えた3時間(18時~20時)が割増賃金の対象となります。

 

 

 

労働基準法41条は、同条各号に定める労働者に対しては,労働時間・休憩・休日の規定が適用されないことを定めています。「適用除外」と呼ばれる規定でした。
したがって、適用除外の労働者については、1日8時間・週40時間の労働時間規制はなくなるため、時間外労働というものがくなくなり、残業代を支払わなくてもよいということになります。同様に,休憩や休日を付与しなくてもよく、休日割増賃金を支払わなくてもよいことになります。
※なお、深夜労働の規定は適用除外されません。したがって、労働基準法41条各号に該当する場合であっても、深夜労働をすればそれに対する割増賃金(深夜手当)の支払いは必要です。

参考通達

1週間の法定労働時間と1日の法定労働時間

法第32条第1項で1週間の法定労働時間を規定し、同条第2項で1日の法定労働時間を規定することとしたが、これは、労働時間の規制は1週間単位の規制を基本として1週間の労働時間を短縮し、1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る場合の上限として考えるという考え方によるものであること。
1週間の法定労働時間と1日の法定労働時間とを項を分けて規定することとしたが、いずれも法定労働時間であることに変わりはなく、使用者は、労働者に、法定除外事由なく、1週間の法定労働時間及び1日の法定労働時間を超えて労働させてはならないものであること。

法定休日に労働させた場合

割増賃金の対象となる休日は法第35条の休日(週1回又は4週4回)のみである。ただし、法第35条の休日以外の休日の労働により週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払を要する。(昭和23.4.5基発537号、昭和63.3.14
基発150号)
時間外労働が引き続き翌日の法定休日に及んだ場合、法定休日の午前0時以後は休日労働に対する割増賃金を支払わなければならない。(平成6531日基発331号・平成6331日基発181号)

深夜業に従事させた場合

午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の時間帯に労働させた場合は、深夜業に対する割増賃金の支払が必要になる。

黙示の承認

使用者の時間管理義務に関して、残業命令には、使用者から明示された命令だけではなく黙示の承認も含まれるものと解されている。行政解釈においても、例えば、校長が具体的に指示した仕事が客観的に所定労働時間内でなされ得ないと認められる場合について、黙示の指示として教員の労働を時間外労働とする考え方が示されている。(昭和25.9.14基収2983号)

終業時刻の変更

就業中の停電又は屋外労働における降雨降雪等により作業を一時中止して自由に休憩せしめ、送電又は天候の回復をまって作業を続開し、停電又は降雨、降雪で休憩せしめた時間だけ終業時刻を繰り下げた場合、その労働時間が通算して1日8時間又は週の法定労働時間以内の場合には、割増賃金の支給を要しない。22.12.26基発 57333.2.13
基発 90

遅刻時間に相当する時間延長

労働者が遅刻した場合その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算すれば法第32条または第40条の労働時間を超えないときは、法第36条に基づく協定及び法第37条に基づく割増賃金の支払は必要ない。(昭和29.12.1基収6143号)

派遣労働者の割増賃金支払義務

派遣の使用者は、派遣就業時間を派遣先の使用者や派遣労働者から確認する体制を整え、当該労働時間数に自らの指揮監督下にあった労働時間数を加えた時間数に応じ、適正に割増賃金等を支払うこと。(平成21.3.31基発0331010号)
派遣労働者については、派遣先の使用者に時間外労働をさせる権限があるかどうかにか関わらず、派遣先の使用者が派遣労働者に法定時間外労働をさせた場合は、派遣の使用者に割増賃金の支払い義務が生じる(昭和61.6.6基発333号)

違法な時間外・休日労働の割増賃金

 法36条の協定(36協定)によらない時間外労働又は休日労働は、法第32条[労働時間]又は第35条[休日]違反ではあるが、法第37条の規定は法第32条若しくは第40条[労働時間及び休憩の特例]に定める労働時間を超え又は法第35条に定める休日に労働させた場合に割増賃金を支払まねばならないという法意であるから割増賃金の支払義務は免れない。(昭和63.3.14基発150号)

<判例>

違法な時間外・休日労働の割増賃金

法33条[臨時の必要がある場合の時間外労働]または36条所定の条件を充足した時間外労働ないしは休日労働に対して、使用者が割増賃金支払の義務あることは法37条1項の明定するところであるが、右条件を充足していない違法な時間外労働等の場合はどうであろうか。 
法はこの点明示するところがないが、適法な時間外労働等について割増金支払義務があるならば、違法な時間外労働等の場合には一層強い理由でその支払義務あるものと解すべきは事理の当然とすべきであるから法37条1項は右の条件が充足された場合たると否とにかかわらず、時間外労働等に対し割増賃金支払義務を認めた趣意と解するを相当とする。(最小一昭和35.7.14小島撚糸事件)

割増率

使用者は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。
割増賃金率
時間外労働
2割5分以上(1か月60時間を超える時間外労働については5割以上*
休日労働
3割5分以上
深夜労働
2割5分以上
休日労働
+時間外労働
3割5分以上
※休日労働に係る時間外労働という概念はない。
時間外労働
+深夜業
5割以上(2割5分以上+2割5分以上)
(1か月60時間を超える時間外労働については7割5分以上*)5割+2割5分
休日労働
+深夜業
6割以上(3割5分以上+2割5分以上)
*中小企業については当分の間、適用が猶予されます。
※休日労働については、休日労働における時間外労働という概念が無いため、時間外労働に関する規制が及ばず、休日に8時間を超えて労働した場合でも、深夜にわたらない限りは割増率は3割5分以上で良いとされています。(昭和22.11.21基発366号,昭和33.2.12基発90号,平成6.3.31基発181号)

参考通達

時間外労働が継続して翌日の所定労働時間に及んだ場合の割増賃金

 法第36条第1項による時間外労働が継続して翌日の所定労働時間に及んだ場合(勤務が終了した数時間後に緊急事態発生のために特別勤務をする場合を含む)は、翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して、法第37条の割増賃金を支払えば同条の違反にはならない。(昭和26.2.26基収3406号、昭和28.3.20基発136号)

 

法定休日における割増賃金の考え方

 法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が35分以上の割増賃金の支払を要する休日労働となる。(平成6.5.31基発331号)

1箇月60時間を超える時間外労働

 1箇月について60時間を超える時間外労働については、その超えた時間について、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとされている。ただし、中小企業については、当分の間、当該5割以上の率で計算した割増賃金を支払うことを要しない。
前回の36協定で示した中小企業の範囲と同様で、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」のいずれかが以下の基準を満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。なお、事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。
業種
資本金の額または出資の総額
常時使用する
労働者数
小売業
5,000万円以下
または
50人以下
サービス業
5,000万円以下
100人以下
卸売業
1億円以下
100人以下
その他
(製造業、建設業、運輸業、その他)
3億円以下
300人以下

変形労働時間制を採用している場合の時間外労働

(1)1箇月単位の変形労働時間制の場合

 1日単位→1週間単位→変形労働時間制の対象期間の法定労働時間の総枠の手順で見ていく。
 ①1日については、次の時間が時間外労働となる。
  ア 所定労働時間が8時間を超える日は、所定労働時間を超えて労働した時間
  イ 所定労働時間が8時間以内の日は、8時間を超えて労働した時間
 ②1週間については、次の時間から①の時間外労働時間を差し引いた時間が時間外労働となる。
  ア 所定労働時間が40(44)時間を超える週は、所定労働時間を超えて労働した時間
  イ 所定労働時間が40(44)時間以内の週は、40(44)時間を超えて労働した時間
 ③変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠(40(44)×変形期間の暦日数/7)を超えて労働した時間から①及び②の時間外労働時間を差し引いた時間が時間外労働となる。

参考通達

休日の振替と日法定労働時間の関係

 休日振替の結果、就業規則で1日8時間を超える所定労働時間が設定されていない日に1日8時間を超えて労働させることになる場合には、その超える時間は時間外労働となる。(平成6.3.31基発181号)

休日の振替と週法定労働時間の関係

 完全週休2日制を採用している場合に、ある週の休日を他の週に振り替えることは、休日の規定との関係では問題はないが、例えば1日の休日を他の週に振り替えた場合には、当該週2日の休日があった週に8時間×6日=48時間労働させることになり、あらかじめ特定されていない週に週40時間を超えて労働させることになるので、8時間分は時間外労働となる。(同上)

(2)1年単位の変形労働時間制の場合

 1か月単位の変形労働時間制と同様の方法で算定するが、1週間の法定労働時間は40時間のみ(特例の適用なし)になる。

(3)1週間単位の非定型的変形労働時間制の場合

 1箇月単位の変形労働時間制と同様の方法で算定するが、1週間の法定労働時間は40時間のみ(特例の適用なし)になり、変形期間は1週間なので(1)③の計算は不要となる。

(4)フレックスタイム制の場合

 清算期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間が時間外労働時間になる。

除外賃金

(1)制限的列挙

 割増賃金の基礎となる賃金は、原則として、通常の労働時間又は労働日の賃金であるが、Ⅴの賃金は除外される。この除外する賃金については、制限的列挙であるとされているので、例えば、法定時間外において危険作業や特殊作業に従事した場合、その作業に対して支給される危険作業手当や特殊作業手当などは、割増賃金の算定の基礎となる賃金に算入しなければならない。(昭和23.11.22基発1681号)

(2)家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当

 これらの手当については、労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されている賃金であるため、割増賃金の基礎から除外している。

(3)臨時に支払われた賃金、1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

 臨時に支払われた賃金とは、例えば祝金見舞金などをいう。1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金とは、賞与などをいう。これらの賃金については、主として計算技術上の困難があるために割増賃金の基礎となる賃金から除外している。

(4)年俸制の場合

 年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与部分は、「臨時に支払われた賃金」及び「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外することはできず、賞与部分を含めて当該確定した年俸制を算定の基礎として割増賃金を支払わなければならない。(平成12.3.8基収78号)

参考通達

危険作業手当

危険作業の手当について、
「ある作業中に、やむを得ない事情により特殊な危険作業(例えば高圧電流の通ずる線を取扱う作業)に従事する場合、それに対してその日は特に危険作業手当を支給することになっているが、これはその労働者の通常の労働に対する賃金とは関係のない臨時的なものと考えられるでので、割増賃金の基礎に算入しなくても差し支えないと思うが如何」とする照会に対し、「危険作業が法第32条及び第40条の労働時間外に及ぶ場合においては、危険作業手当を第37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入した割増賃金を支払わなければならない」とした。
(昭和23.11.22基発1681号)

特殊作業手当

「ある作業を担当する甲が休暇をとったため又はその作業繁忙のため常時その作業に従事していない乙をしてその作業に従事させた。協約によりかかる場合、甲のように当該作業に専ら従事する者には日額の手当(作業手当)を出すことになっており、乙のように自己本来の作業に従事しているならば右の日額作業手当は支給されないが、たまたまその日はその作業に従事したため、この日額作業手当は支給される。この場合、乙に対する右の日額手当は乙にとっては予定された通常の労働に対する賃金ではないものと考えられるので、割増賃金の基礎には算入しなくても差し支えないものと思うがどうか。」とする照会に対し、「乙がその日の特殊事情によって通常従事している職務を離れ、たまたま甲の特殊作業に従事し、その特殊作業の勤務が労働基準法第32条及び第40条の労働時間外に及ぶときには、その超過労働時間に対しては、特殊作業手当を労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入して計算した割増賃金を支払わなければならない」とした。(昭和23.11.22基発1681号)

除外できる手当の具体的範囲

家族手当

 割増賃金の基礎から除外できる家族手当とは、扶養家族の人数またはこれを基礎とする家族手当額基準として算出した手当をいいます。
(除外できる例) 扶養家族のある労働者に対し、家族の人数に応じて支給するもの。
 (例)扶養義務のある家族1人につき、1か月あたり配偶者1万円、その他の家族5千円を支給する場合。
(除外できない例)扶養家族の有無、家族の人数に関係なく一律に支給するもの。
 (例)扶養家族の人数に関係なく、一律1か月1万5千円を支給する場合。

通勤手当

 割増賃金の基礎から除外できる通勤手当とは、通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当をいいます。
(除外できる例)通勤に要した費用に応じて支給するもの。
 (例)6か月定期券の金額に応じた費用を費用を支給する場合。
(除外できない例)通勤に要した費用や通勤距離に関係なく一律に支給するもの。
 (例)実際の通勤距離にかかわらず1日300円を支給する場合。

住宅手当

 割増賃金の基礎から除外できる住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいいます。
(除外できる例)住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもの。
 (例)賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給する場合。
(除外できない例)住宅の携帯ごとに一律に支給するもの。
 (例)賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給する場合。
 

割増賃金の計算の基礎となる賃金額の計算

(労働基準法施行規則)
第19条 
Ⅰ 法第37条第1項[割増賃金]の規定による通常の労働時間又は通常の労働日賃金の計算額は、次のⅰからⅶの金額に法第33条[臨時の必要]若しくは法第36条第1項[36協定]の規定によって延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの労働時間数を乗じた金額とする。
ⅰ 時間によって定められた賃金については、その金額
ⅱ によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数によって所定労働時間数が異る場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額
ⅲ によって定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数によって所定労働時間数が異る場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額
ⅳ によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数によって所定労働時間数が異る場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額
ⅴ 月、週以外一定の期間によって定められた賃金については、ⅰからⅳに準じて算定した金額
ⅵ 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額
ⅶ 労働者の受ける賃金がⅰからⅵの2以上の賃金よりなる場合には、その部分についⅰからⅵによってそれぞれ算定した金額の合計額
Ⅱ 休日手当その他ⅰからⅵに含まれない賃金は、ⅰからⅵの計算においては、これを月によって定められた賃金とみなす。
第19条の2
Ⅰ 使用者は、法第37条第3項の協定(労使委員会の決議、労働時間等設定改善委員会の決議及び労働時間等設定改善法第7条の2に規定する労働時間等設定改善企業委員会の決議を含む。)をする場合には、次に掲げる事項について、協定しなければならない。
ⅰ 法第37条第3項の休暇(以下「代替休暇」という。)として与えることができる時間の時間数の算定方法
ⅱ 代替休暇の単位1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日又は半日を含む。)とする。)
ⅲ 代替休暇を与えることができる期間(法第33条又は法第36条第1項の規定によって延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とする。)
Ⅱ Ⅰⅰの算定方法は、法第33条又は法第36条第1項の規定によって1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかった場合に当該時間の労働について法第37条第1項ただし書の規定により支払うこととされている割増賃金の率と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について同項本文の規定により支払うこととされている割増賃金の率との差に相当する率(次項において「換算率」という。)を乗じるものとする。
Ⅲ 法第37条第3項の厚生労働省令で定める時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする。

(1)賃金支払形態ごとの計算式

 例えば、法定時間外労働を行った者についての賃金の計算方法(時間外労働に対する割増率は25%のケースとする)を、賃金支払形態ごとにまとめると、原則として、次の通りとなります。※1時間当たりの賃金を計算し、その賃金に時間外労働時間数を掛ければよい。
時間給制
時間給額×時間外労働時間数×1.25
日給制
日給額÷1日の所定労働時間数×時間外労働時間数×1.25
週給制
週給額÷週所定労働時間数×時間外労働時間数×1.25
月給制
月給額÷月所定労働時間数×時間外労働時間数×1.25
出来高払制
出来高払総額÷総労働時間数×時間外労働時間数×0.25*
時間外、休日又は深夜労働の時間については、一般的には、通常賃金額と割増賃金額をとを合わせて「通常賃金額の125%(休日労働の場合は135%)」以上の金額を支払わなければならない。
   ただし、「請負制によって賃金が定められている場合」は、「通常賃金額部分(100%部分)」については、すでに「請負制によって計算された賃金の総額」の中に含まれている(支払われている)から、時間外、休日又は深夜労働の時間については、単に「加算額部分(25%又は35%部分)」のみを支払う(加給する)ことで足りる。

(2)割増賃金の定額支給

 割増賃金を毎月定額の手当で支払うことは、次の要件を満たす限り、違法ではないと解させています。
①基本給のうち、割増賃金に当たる部分が明確に区分されていること。
②その手当が時間外労働に対する対価としての実施を有すること。
③実際の時間外労働に対する割増賃金額がその手当の額の範囲内であること(実際の時間外労働に対する割増賃金額がその手当の額を上回るときには、その差額を支払うこととすること)

参考通達

割増賃金を含めた年俸

 年俸制において、年俸に割増賃金を含むものとしている場合、一般的には、年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われている場合は法第37条[割増賃金]に違反しない。(平成12.3.8基収78号)

監視断続労働者の深夜業の割増賃金

 法第41条は深夜業の規定の適用を排除していないから、24時間交替勤務することを条件として賃金が定められている労働者について、法第41条第3号によって使用者が行政官庁の許可を受けて使用する場合であっても、使用者は深夜業の割増賃金を支払わなければならない。ただし、労働協約、就業規則その他によって深夜の割増賃金を含めて所定賃金が定まられていることが明らかな場合には、別に深夜業の割増賃金を支払う必要はない。(昭和23.10.14基発1506号)

判例

時間外労働手当

 タクシーの乗務員として雇用され、勤務体制は隔日勤務で、労働時間は午前8時から翌日午前2時まで(そのうち2時間は休憩時間)となっていました。賃金は、月間水揚高に一定の歩合を乗じた金額(歩合給)を支払うことになっていて、労働基準法第37条の時間外労働や深夜労働を行っても、これ以外の賃金が支給されることはありませんでした。
労働基準法上の時間外及び深夜労働が行われたときにも金額が増加せず、また、この歩合給のうちでも通常の労働時間に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできない場合には、その歩合給の支給により時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難であり、使用者は、時間外及び深夜労働につき、労働基準法第37条及び労働基準法施行規則第19条第1項第6号の規定に従った割増賃金を支払う義務を負う(最二小平成6.6.13高知県観光事件)

代替休暇

(1)趣旨

 労働者の健康を確保する観点から、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることを目的として、1箇月について60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができることとされています。(平成21.5.29基発0529001号)

(2)代替休暇の範囲

 1箇月について60時間を超えた時間外労働に係る割増賃金であっても、「通常の時間外労働に対する割増賃金の率(2割5分以上の率)にかかわる部分については、割増賃金として、当該割増賃金が発生した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払うことが必要であり、これを代替休暇の付与に代えることはできない(法37条3項、平成21.5.29基発0529001号)

参考通達

就業規則への記載

 労使協定によって代替休暇を実施する場合には、代替休暇に関する法第89条第1号の「休暇」として就業規則に記載する必要がある。(平成21.5.29基発0529001号)

代替休暇の意思表示

個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によるものである。(労働者に代替休暇の取得を義務付けることはできない)。(平成21.5.29基発0529001号)

労使協定で定める事項

 規則第19条の2第1項においては、代替休暇を実施する場合には、労使協定で次の3つの事項を定めなければならないとしています。
<労使協定で定める事項>
・代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
・代替休暇の単位
・代替休暇を与えることができる期間

(1)代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法

 当該算定方法は、労働者に1箇月について60時間を超えて時間外労働させた時間数に、換算率(労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率との差に相当する率をいう。)を乗じるものとしなければならない。
代替休暇の時間数=(1箇月の時間外労働時間数―60)×換算率
換算率=労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率 (50%以上) ―
労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率(25%以上)
【例1】
 労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率=1.50
 労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率=1.25の場合、
 換算率は、1.50-1.25=0.25となる。
【例2】1箇月に76時間の法定時間外労働を行った場合
 月60時間を超える16時間分の割増賃金の引き上げ分25%(50%-25%)の支払に代えて、有給休暇付与(4時間)も可能である。ただし、76時間×1.25の賃金は必要である。

(2)代替休暇の単位

 代替休暇の単位については、まとまった単位で与えられることにより労働者の休息の機会とする観点から、1日又は半日*(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせた1日又は半日を含む。)とされており、労使協定では、その一方又は両方を代替休暇の単位として定める必要がある。(則19条の2.12号、平成21.5.29基発0529001号)
1日」とは労働者の1日の所定労働時間をいい、「半日」とはその2分の1をいう。「半日」については、必ずしも厳密に1日の所定労働時間の2分の1とする必要はないが、その場合には労使協定で当該事業場における「半日」の定義を定めておく。(平成21.5.29基発0529001号)
【例】1日の所定労働時間が8時間、代替休暇の時間数が10時間ある場合
① 1日(8時間)の代替休暇を取得し、端数2時間は割増賃金で支払う方法
 1日(8時間)の代替休暇と、2時間の代替休暇に2時間の他の有給休暇を合わせて範囲値の休暇を取得する場合

(3)代替休暇を与えることができる期間

 当該期間は、時間外労働が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内としなければならない。
【例】5月に6時間分、6月に2時間分の代替休暇に相当する法定時間外労働を行った場合
  

(4)50%以上の率で計算した割増賃金の支払が不要となる時間

 労働者が代替休暇を取得した場合、労働者に1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間のうち、「労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間」については、50%以上の率で計算した割増賃金の支払を要しない(25%以上の率で計算した割増賃金を支払えばよい)ことになる。(則19条の2.3項)
50%以上の率で計算した割増賃金の支払が不要となる時間=労働者が取得した代替休暇の時間数 ÷ 換算率
【例】
①月60時間を超える時間外労働時間が40時間
②換算率25%
1日の所定労働時間が8時間(半日4時間)
 以上のケースの場合、代替休暇として与えることができる時間10時間*(40時間×25%)となる。この10時間のうち、4時間を代替休暇として消化し、残りの6時間を金銭で取得した場合、次のようになる。
※(1)代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法参照
50%以上の率で計算した割増賃金の支払が不要となる時間
 =4時間(労働者が取得した代替休暇時間数)÷25%=16時間
この場合、代替休暇を取得していない24時間分(金銭で支払われた6時間÷25%)の時間外労働については、50%以上の率で計算した割増賃金の支払が必要となる。
「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」と「代替休暇」とを合わせて与えた場合において、50%以上の率で計算した割増賃金の支払に代えることができるのは、代替休暇の部分に限られる。(平成21.5.29基発0529001号)

 

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