労災保険の目的、管掌、命令の制定|労災保険

労働者災害補償保険法

 今回から『労働者災害補償保険法』の学習を開始していきます。

皆さんもご存じのとおり、労働者災害補償保険とは、略して労災保険と呼ばれています。

労災保険は、会社に雇われている方が、仕事中や通勤途中に起きたケガ、病気、障害、死亡に対して保険給付を行う制度ですね。

第1回目は、労災保険の目的、管掌、命令の制定について解説します。

 

目的(法1条、法2条の2)

第1条

 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

第2条の2

 労働者災害補償保険は、第1条の目的を達成するため、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。

 

沿革

労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)は、業務上の災害が発生した場合、事業主の一時的補償負担の緩和を図り、労働者に対する迅速かつ公正な保護を確保するため(労働基準法に基づく事業主の補償義務を肩代わりする制度として)、労働基準法と同じ昭和22年4月に公布され、同年9月1日に施行されました。さらにその後、昭和48年の改正において、通勤災害も同法の保護の対象とされている。また、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のうち、直近のもの(一次健康診断)において脳・心臓疾患に関連する項目に異常があると診断された労働者が、「二次健康診断等給付」も自己負担なく受けられる制度も労災保険で補っています。

 

■労災保険の体系図

・労災保険は、業務災害又は通勤災害等(業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等といった保険事故)に対して保険給付の事業を行うとともに、附帯事業として、被災労働者の社会復帰、被災労働者等の援護及び労働者の安全衛生の確保等の事業(社会復帰促進等事業)を行うものである。 (昭和51.6.29発基96号)

業務災害とは、労働者が業務を原因として被った負傷、疾病または死亡(以下「傷病等」)をいいます。
業務と傷病等との間に一定の因果関係があることを「業務上」と呼んでいます。
業務災害に対する保険給付は、労働者が労災保険の適用される事業場に雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害に対して行われます。

通勤災害とは、通勤によって労働者が被った傷病等をいいます。
この場合の「通勤」とは、就業に関し、㋐住居と就業の場所との間の往復㋑就業の場所から他の就業の場所への移動㋒単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。移動の経路を逸脱し、または中断した場合には、逸脱または中断の間およびその後の移動は「通勤」とはなりません。

ポイント

労災保険の保険料は全額事業主負担である(労働者は保険料を負担しないため、被保険者ではなく適用労働者という。)。

 

 

管掌(法2条、則1条)

第2条

労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。

 

労働者災害補償保険法施行規則

(事務の所轄)

第1条

Ⅰ 労働者災害補償保険法第34条第1項第3号[第1種特別加入者の給付基礎日額の決定](第3種特別加入者の規定において準用する場合を含む。)、第35条第1項第6号[第2種特別加入者の給付基礎日額の決定]及び第49条の3第1項[資料提供等の求め]に規定する厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任する。ただし、法第49条の3第1項の規定による権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない。

Ⅱ 労働者災害補償保険に関する事務は、厚生労働省労働基準局長の指揮監督を受けて、所轄都道府県労働局長が行う。

Ⅲ Ⅱの事務のうち、保険給付(二次健康診断等給付を除く。)並びに社会復帰促進等事業のうち労災就学等援護費及び特別支給金の支給並びに厚生労働省労働基準局長が定める給付に関する事務は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、所轄労働基準監督署長が行う。

「管掌」とは、つかさどること。自分の管轄の職務として責任をもって取り扱うことです。

労災保険も、労働基準法で登場した「労働基準監督署長」となります。

■事務の所轄

 

ポイント

二次健康診断等給付以外の保険給付に関する事務は、所轄労働基準監督署長が行う(二次健康診断等給付に関する事務は、所轄都道府県労働局長が行う)

 

命令の制定(法5条)

第5条

 この法律に基づく政令及び厚生労働省令並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」という。)に基づく政令及び厚生労働省令(労働者災害補償保険事業に係るものに限る。)は、その草案について、労働政策審議会意見を聞いて、これを制定する。

趣旨

労災保険法等に基づく命令の制定については、その立案の公正・的確性の確保と施行の円滑を期する必要があるため、労働政策審議会の意見を聞くべきことを規定しています。

 労働政策審議会は、平成13年1月6日、厚生労働省設置法第6条第1項に基づき設置されました。本審議会においては、厚生労働省設置法第9条に基づき、厚生労働大臣等の諮問に応じて、労働政策に関する重要事項の調査審議を行います。また、本審議会は、労働政策に関する重要事項について、厚生労働大臣等に意見を述べることができます。
本審議会は、厚生労働大臣が任命する30名の委員(公益代表委員・労働者代表委員・使用者代表委員の各10名)で組織されています。委員の任期は2年とされ、再任することができます。

 

 

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