通勤による疾病の範囲は、「通勤による負傷に起因する疾病」「その他通勤に起因することの明らかな疾病」と覚える。過去問では、通勤による疾病の範囲が「通勤による負傷に起因することの明らかな疾病に限られる」など限定的な出題が出されていますが、厚生労働省令で定めるものに限られます。ただし、具体的な範囲は定められていません。
通勤による疾病の範囲 (法22条1項、則18条の4)
療養給付は、労働者が通勤(第7条第1項第2号の通勤をいう。以下同じ。)により負傷し、又は疾病(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この節[通勤災害に関する保険給付]において同じ。)にかかった場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行なう。
(通勤による疾病の範囲)
法第22条第1項の厚生労働省令で定める疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とする。
疾病の範囲の定め
(1)通勤による疾病は、法第22条第1項において「厚生労働省令で定めるものに限る」と規定されており、当該厚生労働省令(労災保険法施行規則第18条の4)において、
- 通勤による負傷に起因する疾病
- その他通勤に起因することの明らかな疾病 と規定されています。
(2)通勤による疾病については、業務上の疾病の範囲のように厚生労働省令において具体的に疾病の種類は列挙されていません。
通勤による疾病
「通勤による疾病」とは、通勤による負傷又は通勤に関連ある諸種の状態(突発的又は異常なできごと等)が原因となって発病したことが医学的に明らかに認められるものをいうが、特に発病の原因となるような通勤による負傷又は通勤に関連する突発的なできごと等が認められない場合における、労働者の通勤途中に発生した急性心不全による死亡については、「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められない。 (昭和50.6.9基収4039号)
過去問
(平成19年 問1B)
【問題】通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める疾病をいう。
【解答】×
【解説】(法22条1項、則18条の4)
「通勤途上で生じた疾病」が常に「通勤による疾病」に該当するものではないため誤り。
(平成13年 問1D)
【問題】通勤による疾病は、通勤による負傷に起因することの明らかな疾病に限られる。
【解答】×
【解説】(法22条1項、則18条の4)
通勤災害の対象となる疾病の範囲⇒厚生労働省令で定められている。
(平成21年 問1D)
【問題】通勤による疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他厚生労働省令で定める疾病に限られ、その具体的範囲は、労災保険法施行規則に基づき厚生労働大臣が告示で定めている。
【解答】×
【解説】法22条1項、則18条の4
通勤による疾病の範囲⇒通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病。ただし、具体的な範囲は定められていません。
(平成14年 問2D)
【問題】通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上の疾病の範囲に準じて厚生労働大臣告示において具体的に疾病の種類が列挙されている。
【解答】×
【解説】(法22条1項、則18条の4)
業務上の疾病のように具体的な疾病の種類が列挙されているわけではない。
(平成13年 問1C)
【問題】通勤による疾病は、厚生労働省令で定めるものに限られる。
【解答】○
【解説】(法22条1項)
通勤災害の対象になる負傷については制限なし。

