遺族(補償)年金前払一時金
遺族(補償)年金を受給することとなった遺族は、1回に限り、年金の前払いを受けることができます。若年停止により年金の支給が停止されている場合でも、前払いを受けることができます。
支給要件及び支給額 (法附則60条1項、2項、則附則31項)
Ⅰ 政府は、当分の間、労働者が業務上の事由により死亡した場合における当該死亡に関しては、遺族補償年金を受ける権利を有する遺族に対し、その請求に基づき、保険給付として、遺族補償年金前払一時金を支給する。
Ⅱ 遺族補償年金前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分又は1,000日分に相当する額とする。
【遺族年金前払一時金の支給要件(法附則63条1項)】
政府は、当分の間、労働者が通勤により死亡した場合における当該死亡に関しては、遺族年金を受ける権利を有する遺族に対し、その請求に基づき、保険給付として、遺族年金前払一時金を支給する。
【遺族年金前払一時金の支給額(法附則63条2項、則附則40項)】
遺族年金前払一時金の支給額も同様である。
給付の内容
前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分又は1,000日分のなかから、希望する額を選択できます。
スライド
年金の受給権が算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以後に生じた場合は、遺族(補償)一時金とみなしてスライド改定が行われた額(スライド改定された給付基礎日額を用いて算定した額)となる。 (則附則31項カッコ書、則附則40項)
年金の請求と同時でない場合の請求額
遺族(補償)年金前払一時金の額は、上記Ⅱの額から受給権者が選択して請求するが、遺族(補償)年金前払一時金の請求が遺族(補償)年金の請求と同時でない場合、当該請求額は、給付基礎日額の1,000日分から既に支給を受けた遺族(補償)年金の額〔当該遺族(補償)年金前払一時金が支給される月の翌月に支払われることとなる遺族(補償)年金の額を含む。〕の合計額を減じた額を超えることはできない。( 則附則28項、則附則33項)
請求 (法附則60条5項、則附則26項、27項、33項)
Ⅰ 遺族補償年金前払一時金の請求は、同一の事由に関し、1回に限り行うことができる。
Ⅱ 遺族補償年金前払一時金の請求は、遺族補償年金の請求と同時に行わなければならない。ただし、遺族補償年金の支給の決定の通知のあった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間は、当該遺族補償年金を請求した後においても遺族補償年金前払一時金を請求することができる。
Ⅲ 遺族補償年金前払一時金の支給を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。
【遺族年金前払一時金の請求(法附則63条3項、則附則41項)】
遺族年金前払一時金の請求も同様である。
請求等
遺族(補償)年金前払一時金の請求は、同一の事由に関し、1回しか行うことができず、原則として、遺族(補償)年金の請求と同時に行わなければならない。ただし、支給決定通知日の翌日から起算して1年以内であれば、遺族(補償)年金を請求した後においても当該請求をすることができる。
なお、遺族(補償)年金前払一時金の請求権は死亡した日の翌日から起算して2年を経過したときは時効によって消滅する。
参考通達
(年金の請求と同時でない場合の支給時期)
前払一時金の請求が年金の請求と同時でない場合、当該一時金は、1月、3月、5月、7月、9月又は11月のうち前払一時金の請求が行われた月後の最初の月に支給される。
(則附則29項、則附則33項)
・ 遺族(補償)年金前払一時金は、同一の事由に関し1回に限り請求できるものであるため、失権した先順位者がすでに受給している場合には、転給者は当該前払一時金の請求をすることができない。
・ 55歳以上60歳未満の若年支給停止者であっても遺族(補償)年金前払一時金の請求をすることができる。
支給停止 (法附則60条3項)
遺族補償年金前払一時金が支給される場合には、当該労働者の死亡に係る遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法に従い当該遺族補償年金前払一時金の額に達するまでの間、その支給を停止する。
【遺族年金の支給停止(法附則63条3項)】
遺族年金前払一時金の場合も同様である。
支給停止期間
当然の規定ですね。月々の年金をまとめて前払いしているだけで、実際は年金が支給されているのと同じわけですから。
年金の支給停止期間は、年金が支給されると仮定した場合の毎月の年金額(前払一時金が支給された月後最初の年金の支払期月から1年経過月以後の分は年5分の単利で割り引いた額)を合計した額が、前払一時金の額に達するまでの間である。
20歳前傷病による障害基礎年金等との関係
本条の規定により遺族(補償)年金の支給が停止されている期間は、労災保険の年金たる保険給付が支給されたものとして取り扱われる(前払一時金として受給している)ため、国民年金法第30条の4に規定する20歳前傷病による障害基礎年金、障害福祉年金から裁定替えされた障害基礎年金等は支給されない。 (法附則60条7項)


