前借金相殺の禁止(法17条)|労働基準法

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前借金相殺の禁止
労働基準法

 法第17条は、借金返済を理由に、就業することは、本人の職業選択の自由や、本来の能力や才能を発揮できる機会を奪い、搾取的な労働になる危険もあり、そのような配慮から禁止された規定です。前条の賠償予定の禁止と同様に労働者を拘束することを防いでいるのですね。

 

前借金相殺の禁止(法17条)

 
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権賃金相殺してはならない。

趣旨

 法第17条の規定は、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止するのがその趣旨である。したがって、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働することを条件とする債権には含まれない。    (昭和22.9.13発基17号、昭和33.2.13基発90号)
かつて第2次大戦前の日本において、紡績・生糸・織物等の繊維産業の女工、鉱山・土建・漁業等における筋肉労働者等、広い産業分野にわたってみられた。その基本的目的は、労働者を前貸資金による〈債務奴隷〉的な立場に置くことによって、雇主のもとに拘束的に隷属させ、労働強制を効果的に実現することにあった。

前借金

 「前借金」とは、労働契約の締結の際又はその後に、労働することを条件として使用者から借り入れ、将来の賃金により弁済することを約する金銭をいうものである。

生活資金の貸付に対する返済金

 法第17条の規定は、前借金により身分的拘束を伴い労働が強制されるおそれがあること等を防止するため「労働することを条件とする前貸の債権」と賃金を相殺することを禁止するものであるから使用者が労働組合との労働協約の締結あるいは労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定は適用されない。
(昭和23.10.15基発1510号、昭和63.3.14基発150号)
本条における相殺禁止の規定は、相殺のうち、使用者の側で行う場合のみを禁止しているのであって、労働者が“自己の意思”による申し出によって前借金等と賃金を相殺することは禁止されていない。
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