遺族(補償)一時金
被災労働者死亡当時に、遺族(補償)年金を受ける遺族(受給資格者)がいない場合や、遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まで全員失権し、前払一時金を含む支給済みの遺族(補償)年金額が給付基礎日額の1,000日分に満たなかった場合には、一定の遺族に遺族(補償)一時金等の給付が行われます。
支給要件及び支給額 (法16条の6,1項、法16条の8、法附則60条4項、法別表第2)
Ⅰ 遺族補償一時金は、次の場合に支給する。
ⅰ 労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。
ⅱ 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額及び遺族補償年金前払一時金の額の合計額が当該権利が消滅した日においてⅰに掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金の額(給付基礎日額の1,000日分)に満たないとき。
Ⅱ 遺族補償一時金の額は、次の通りとする。
ⅰ Ⅰⅰの場合 給付基礎日額の1,000日分
ⅱ Ⅰⅱの場合 給付基礎日額の1,000日分からⅠⅱに規定する遺族補償年金の額及び遺族補償年金前払一時金の額の合計額を控除した額
Ⅲ 遺族補償一時金を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族補償一時金の額は、上記に規定する額をその人数で除して得た額とする。
【遺族一時金の支給要件及び支給額(法22条の4,3項、法附則63条3項)】
第16条の2から第16条の9までの規定は遺族一時金について準用する。
趣旨
遺族(補償)一時金は、遺族(補償)年金の受給資格者がいない、又は受給権者が全て失権した場合に、給付基礎日額の1,000日分を保障額として、その全額又は既に支給された遺族(補償)年金の額及び遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額との差額を遺族に支給しようとするものである。
支給額
遺族(補償)一時金の支給額は、次の通りである。
事由 | 支給額 |
労働者の死亡当時、遺族(補償)年金の受給資格者となる遺族がいない場合 | 給付基礎日額の1,000日分 |
遺族(補償)年金の受給権者が失権し、他に受給資格者がいない場合で、労働者の死亡に関し支給された遺族(補償)年金の額及び遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額が給付基礎日額の1,000日分に満たないとき(失権差額一時金) | 給付基礎日額の1,000日分 ― ※既に支給された遺族(補償)年金の額と遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額 |
※ 差額の計算に当たっては、受給権が消滅した日の属する年度(当該権利が消滅した日の属する月が4月から7月までの月に該当する場合にあっては、その前年度)の7月以前の分として支給された年金額及び同期間に支給事由が生じた前払一時金の額については、平均給与額の変動に応じて現在価値に換算(逆スライド)したうえで合算される。 (法16条の6,2項、法附則60条4項、則附則32項)
受給資格者及び受給権者 (法16条の7)
Ⅰ 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次のⅰからⅲに掲げ
る者とする。
ⅰ 配偶者
ⅱ 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
ⅲ ⅱに該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
Ⅱ 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、Ⅰⅰⅱⅲの順序により、ⅱ及びⅲに掲げる者のうちにあっては、それぞれ、ⅱ及びⅲに掲げる順序による。
【遺族一時金の受給資格者及び受給権者(法22条の4,3項)】
第16条の2から第16条の9までの規定は遺族一時金について準用する。
■遺族の順位〔障害(補償)年金差額一時金との対比〕
遺族(補償)一時金 | 障害(補償)年金差額一時金 | ||
1 | 配偶者 | 1 | 労働者の死亡当時生計同一関係にある ① 配偶者 ② 子 ③ 父母 ④ 孫 ⑤ 祖父母 ⑥ 兄弟姉妹 |
2 | 労働者の死亡当時生計維持関係にある ① 子 ② 父母 ③ 孫 ④ 祖父母 | ||
3 | 労働者の死亡当時生計維持関係にない ① 子 ② 父母 ③ 孫 ④ 祖父母 | 2 | 労働者の死亡当時生計同一関係にない ① 配偶者 ② 子 ③ 父母 ④ 孫 ⑤ 祖父母 ⑥ 兄弟姉妹 |
4 | 兄弟姉妹 |
・ 配偶者は、労働者の死亡当時、生計維持関係のあるなしにかかわらず、最先順位者であり、兄弟姉妹は、最後順位者である。
・遺族(補償)一時金については転給が行われることはない。
受給資格の欠格 (法16条の9,1項、3項)
Ⅰ 労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。
Ⅱ 遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。
【遺族給付の受給資格の欠格(法22条の4,3項)】
第16条の2から第16条の9までの規定は遺族給付について準用する。


