障害基礎年金の支給停止と失権

 

障害基礎年金の支給停止

労働基準法の規定による障害補償を受けることができるとき
受給権者が同一の傷病による障害について、労働基準法の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、6年間その支給を停止します。
労働基準法の規定による障害補償は、労働者が業務上災害によって障害が残った場合に使用者から支払われるものですが、業務上外を問わない障害基礎年金とダブル場合があります。その場合は、労働基準法の障害補償を優先します。障害補償は一括払いが原則ですが、一定の要件を満たした場合は6年間の分割払いも可能です。(分割保障)障害基礎年金は、この分割保障の期間に対応する6年間、支給を停止します。
※労働基準法によるもので労災保険法の障害補償年金とは支給調整はされない。

●障害等級に該当しなくなったとき

受給権者が障害等級(1級または2級)に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止します。
たとえば、会社員時代に初診日があった人に、障害認定日に障害等級1級の障害が残りました。会社員は国民年金と厚生年金保険に同時加入していますから、どちらも1級の障害基礎年金と障害厚生年金の支給を受けることができます。その後障害の程度が軽減し2級に該当すると、額の改定が行われ、1階、2階ともに2級となります。さらに軽減すると、障害厚生年金は障害等級が3級までありますから、2階部分は3級の障害厚生年金となりますが、1階部分の障害基礎年金は支給停止となります。もっと軽減して3級からも外れると、2階部分も支給停止となります。この時点では、まだ失権していないことがポイントです。その後同じ障害がまた悪くなって障害等級に該当すれば、障害基礎年金や障害厚生年金の支給が再開されることになります。65歳までに悪化しない場合は失権します。
なお、障害状態不該当により支給停止中の受給権者に「その他障害」が発生し、その他障害の障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級に該当するに至った場合は、支給停止が解除されます。
※老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていると65歳に達したとみなされるため、その他障害と併合した支給停止解除ができなくなります。

●20歳前傷病による障害基礎年金の支給停止

20歳前傷病による障害基礎年金は20歳前に保険料納付要件を問わず支給されるので、支給停止規定が厳しくなっています。
①恩給法に基づく年金給付、労働者災害補償保険法の規定による年金給付、その他政令で定める年金給付を受けることができるとき(これらの年金給付が全額支給停止されるときは、20歳前障害基礎年金は支給停止されない)

②刑事施設、労役場等の施設に拘禁されているとき

③少年院等の施設に収容されているとき

④日本国内に住所を有しないとき

⑤前年の所得が政令で定める額を超えるとき
(その年の8月から翌年の7月までの間、その全部または2分の1を支給停止)
※1人世帯(扶養親族なし)については、所得額が360万4千円を超える場合に年金額2分の1が支給停止となり、462万1千円を超える場合に全額支給停止とする2段階制がとられています。
2人世帯の場合については、所得額が398万4干円を超える場合には年金額の2分の1相当額に限り支給停止とし、500万1干円を超える場合には全額支給停止となり、世帯人数が増加した場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算されます。
※震災・風水害・火災等により、本人または控除対象配偶者、被扶養親族等の財産の2分の1以上の被害を受けた場合は、その月から翌年の7月まで所得を理由とした支給停止はされません。

障害基礎年金の失権

失権とは、障害基礎年金を受ける権利が全くなくなってしまうことを指します。
①併合認定が行われたとき(従前の障害基礎年金の受給権が消滅)
②死亡したとき
③65歳に達したとき。ただし、65歳に達したときに障害等級3級に該当しなくなった
ときから3年を経過していないときは3年を経過したとき

原則は、厚生年金保険法の障害等級3級に該当する程度の障害に該当しない受給権者が、65歳に達したときに失権します。わかりやすく言えば、厚生年金保険の3級からも外れた状態で65歳に到達したときに失権するということです。
障害基礎年金には1級と2級しかありませんが、障害厚生年金には3級まであります。
受給しているか否かにかかわらず、失権を見る場合にはこの障害等級3級で判断します。
例外として、障害基礎年金の3年失権制の廃止に伴う措置として、
障害厚生年金3級に該当しなくなっても、「65歳に達したとき」か「3級に該当することなく3年を経過したとき」のどちらか遅い方まで、障害基礎年金の受給権は存続することにしました。
なかには、65歳直前や65歳を過ぎてから3級から外れる人もいるからです。

①65歳直前で3級から外れた場合
64歳で3級から外れたとすれば、原則どおり65歳で失権となると、たったの1年で失権してしまうことになります。そこでその場合は、65歳を飛び越して、3級から外れた時点から、3年経過で失権することとしています。具体的には、64歳から3年後で
すから、67歳で失権することになります。

②65歳を過ぎてから3級から外れた場合66歳で3級から外れたとすれば、3年で失権させます。具体的には、69歳で失権するこ
とになります。

①と②は、平成6年改正以前の「様子見の3年間」の名残りです。当時は、「65歳に達したとき」か「3級に該当することなく3年を経過したとき」のどちらか遅い方までではなく、3級から外れて3年経過した時点で失権させることとしていました。
ところが、実際には3年どころか10年、20年経過してから再び悪化する例が多く見られたため、法改正によって65歳まで失権しないこととしたのです。

 

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