就業規則作成及び届出の義務、記載事項(法89条)|労働基準法

労働基準法
 これから就業規則の学習に入っていきますが、就業規則のみで1冊は書けるボリュームがあります。しかし心配しないでください。社労士の試験は条文を解釈すればいいのです。必要記載事項など問題となる項目があります。基本部分を確実にマスターしましょう。
就業規則とは、労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について労働基準法等で定められており、常時10人以上の労働者を使用している場合は、届出が義務付けられています。皆さんの会社でもありますよね。
特に、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項の項目により、区分けできることが重要です。また、法第15条の労働条件と明示と対比して把握すると効率的です。
今回より数回に分けて解説していきます。

就業規則作成及び届出の義務(法89条、則49条1項)

 

第89条

常時10人以上労働者を使用する使用者は、法89条各号に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。当該事項を変更した場合においても、同様とする。

労働者

 「労働者」とは、当該事業場に使用されているすべての労働者をいい、正規従業員だけでなく臨時的・短期的な雇用形態の労働者はもちろん、他社へ派遣中の労働者も含まれる。したがって、これらの労働者をすべて合わせて10人以上であれば、就業規則を作成し届け出なければならない。(昭和61.6.6基発333号)

常時10人以上

 「常時10人以上」とは、「常態として10人以上」ということであり、時には10人未満になる場合も含まれる。逆に、常態として10人未満であれば、業務の繁忙期に10人以上の労働者を使用することがあっても就業規則の作成・届出義務は発生しない。

派遣労働者と就業規則

 法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣の使用者である。(昭和61.6.6基発333号)

一部の労働者に適用される別個の就業規則

 同一事業場において、法第3条[均等待遇]に違反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない(例えば正規従業員の就業規則とは別個にパート社員の就業規則を定めてもよい)が、この場合は、就業規則の本則において当該別個の就業規則の適用の対象となる労働者に係る適用除外規定又は委任規定を設けることが望ましい。(昭和63.3.14基発150号、平成11.3.31基発168号)

記載事項(法89条各号)

 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

必要記載事項

 就業規則の必要記載事項には、
 ◎必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と
 ◎定めをする場合には必ず記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)とがある。
 条文に、定めをする場合」と記載があるもの相対的必要記載事項となります。
 絶対的必要記載事項:
 相対的必要記載事項:3の2、4,5,6,7,8,9,10

必要記載事項の一部を欠く就業規則の効力

 就業規則が絶対的必要記載事項の一部を欠いている場合又は相対的必要記載事項中、当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない場合は、本条(法第89条)違反となるが、このような就業規則であっても、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効である。(昭和25.2.20基収276号、平成11.3.31基発168号)

フレックスタイム制を採用する場合のコアタイム、フレキシブルタイム

 コアタイム、フレキシブルタイムは始業及び終業の時刻に関する事項であるので、これらの時間帯を設ける場合には、これらについて就業規則に規定しておかなければならない。
(昭和63.1.1基収1号、平成11.3.31基発168号)

別規則の定め

 就業規則の記載事項については、1つの就業規則にすべて記載する必要はなく、例えば、「賃金規程」などの別規則を定めて記載しても差し支えない。

習慣も定める必要があるか

 習慣も当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである限り当然記載しなければならない。(昭和23.10.30基発1575号、平成11.03.31基発168)

労働協約を引用する場合

就業規則で労働協約を引用する場合については、労働協約の各条にそのまま就業規則の内容となりうるような具体的な労働条件が定められている場合に限って、労働協約の条文番号の引用で足りるが、就業規則の中に引用すべき労働協約の各条文番号を列挙し、かつ、就業規則の別紙として労働協約を添付しなければならない。(昭和24.11.24基発1296号、平成11.03.31基発166)

参考通達

退職に関する事項

 第89条第3号にいう「退職」は、解雇を含め労働契約が終了するすべての場合を指すと解すべきであり、「退職に関する事項」とは、任意退職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいう。

退職手当に関する事項

 退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、これは退職手当の決定及び計算の方法に関する事項に該当するので、就業規則に記載する必要がある。(平成11.3.31基発168号)

旅費に関する事項

 旅費に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項ではないので、就業規則中に旅費に関する定めをしなくても差し支えないが、旅費に関する一般的規定を作る場合には、第89条第10号により、(事業場の労働者すべてに適用される定めに該当するので)就業規則の中に規定しなければならない。(昭和25..20基収3751号、平成11.3.31基発168号)

育児休業の就業規則への記載

 育児・介護休業法による育児休業も、就業規則の記載事項である「休暇」に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要がある。なお、育児・介護休業法においては、育児休業の対象者、申出手続、育児休業期間等が具体的に定められているので、育児・介護休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしていると解される。(平成3.12.20基発712号、平成11.3.31基発168号)

職業訓練に関する事項

就業規則に記載すべき「職業訓練に関する事項」としては、行なうべき職業訓練の種類、訓練に係る職種等訓練の内容、訓練期間、訓練を受けることができる者の資格等、職業訓練中の労働者に対し、特別の権利義務を設定する場合には、それに関する事項、訓練修了者に対し特別の処遇をする場合には、それに関する事項等である。(昭和44.11.24基発776号)

<Point>

 法第41条第3号の監視・断続的労働の許可を受けた者についても法第89条は適用されるので、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならない。(昭和23.12.25基収4281号)

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